調理科学

【ナポリタンレシピ】ケチャップの量とオイスターソースが味の決め手

こんにちは、4/29が何の日か知っていますか?
もちろん、皆さん昭和の日であることは知っていますよね。
それだけでなく、実は「ナポリタンの日」というのもあるそうです。

そこで本日は「学びが人生を豊かにする」をテーマに、ナポリタンのレシピについて紹介したいと思います。

そもそもナポリタンってどんな料理でしょうか。
日本発祥であり普通のパスタにはない炒めるという行為がある少々特異なスパゲッティです。
ちなみにWikipediaでは以下のようにナポリタンを定義しています。

ナポリタン(Naporitan)は、パスタ料理の一種で、茹でたスパゲッティをタマネギ、ピーマン、ベーコンなどの具材と共に炒めトマトケチャップで調味したもの。

「https://ja.wikipedia.org/wiki/ナポリタン」(2023年4月15日 (土) 01:31 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

非常にシンプルな料理である一方で、喫茶店やお店で作られるようなプロの味を再現しようとするとなかなか難しいですよね。
特に自分で作ろうとするとただのケチャップ味になったり、ケチャップの量が少なくて濃厚さが足らなかったりします。

そこで、本記事ではケチャップをはじめソースを如何に美味しく作るかという部分に焦点を当ててナポリタンのレシピを紹介したいと思います。
また、調理科学の観点からプロの味を再現する工夫を解説します。

ナポリタンのレシピ

まずは細かいことは抜きにして、レシピの紹介です。
ポイントは

  • ケチャップの量はしっかり多め(パスタ重量の半分以上)
  • オイスターソースで全体の味をまとめる
  • ケチャップ、パスタ、具材を焼くように炒める

です。

【1-1. ナポリタンの材料】

1人前の材料

A.食材

  • パスタ・・・100g
  • 玉ねぎ・・・半分
  • ピーマン・・・半分
  • マッシュルーム・・・2個
  • ベーコンorソーセージ・・・40g(2枚程度)

B.ソース

  • ケチャップ・・・50g
  • ウスターソース・・・小さじ1
  • 牛乳・・・小さじ1
  • オリーブオイル・・・大さじ1
  • ゆで汁・・・適量(50g程度)
  • バター(仕上げ用)・・・10g

C.その他・調味料

  • パルメザンチーズ
  • オリーブオイル
  • 塩・胡椒

【1-2. ナポリタンの作り方】

  1. 具材をカットする
    玉ねぎ、ピーマン、マッシュルームすべて薄切りにする。
    ベーコンorソーセージは一口サイズにカットする。
  2. パスタをゆでる
    十分な量のお湯を沸かし、塩を溶かし入れパスタをゆでる。
    塩は塩分濃度約1~2%が目安
    ゆで時間は袋に記載の規定時間
  3. パスタを炒める
    茹で上がったパスタはよく湯切りする。
    フライパンに分量外のオリーブオイル(大さじ1程度)をいれパスタを炒める。
    炒め終わったら皿にあけておく。
  4. 具材を炒める
    フライパンに分量外のオリーブオイルを引き、ベーコンorソーセージ、玉ねぎ、マッシュルーム、ピーマンの順に炒める。
    炒め終わったら皿にあけておく。
  5. ソースを炒める
    分量のケチャップ、ウスターソース、牛乳をフライパンに投入する。
    粘性が出るまでしっかり炒めたら、ゆで汁とオリーブオイルを入れ伸ばす。
    具材をフライパンに戻す。
    パルメザンチーズと胡椒を加え具材とソースを和える。
  6. パスタを加え全体を炒める
    パスタと仕上げ用のバターをフライパンに入れ、ソースと和えるように炒める。

プロの味を再現するための工夫

【2-1. 具材は強火で一気に炒める】

  • 食感を残す→強火で一気に炒める
  • 焼き色を付ける→炒めるときにはあまり煽らない
  • 均一に火入れをする→火入れの順番に気を付ける

ナポリタンの具材はある程度食感を残すことが大事です。
一方で、味の深みと豊かな香りを実現するためにはしっかりとした焼き色を付ける必要があります。

そのためまず具材を炒める際には強火で一気に炒めましょう。
野菜をシャキッとした食感を残しながら炒めるには弱火で炒める方法と強火で炒める方法の両方があります。
弱火の場合には野菜の細胞壁を壊さず水分の流出をさせないよう火を入れることが可能です。
ただし、なかなか焼き色がつかないという特徴があります。
一方強火の場合には水分が流出しやすいですが、焼き色が付きやすいです。
まずは、強火でしっかりと炒めて焼き色を付けることを優先させましょう。

炒める際には油をひき十分フライパンが温まったら具材を入れ、まずは具材全体に油を回しましょう。
具材全体に油が回ったら、焼くようにじっくりと強火で加熱してください。
その際に、しっかりとした焼き色を付けるためには具材をあまりかき混ぜすぎないように注意しましょう。
フライパンをあおったり、具材を頻繁にかき混ぜるとなかなか焼き色が付きません。
焦げないように注意しながらじっくりと加熱し、焼き色がついたら混ぜ合わせるというのを意識してください。

食材を入れる順番も大切です。
基本的なことですが、火の入りが仕上がりのタイミングですべて丁度よくなるように、火の入りにくい食材から順に炒めていきましょう。
こだわる場合、具材をそれぞれ皿にあけながら炒めていき、最後に合わせるというのも有効です。

具材を炒める前にオリーブオイルにニンニクを入れ、香りをうつしたオイルで具材を炒めたり、炒め工程の仕上げに白ワインを入れるなどすると、香り豊かに仕上げりますのでお好みでアレンジすると良いでしょう。

  • 野菜を強火で炒めると細胞壁を構成する「ペクチン」という成分が分解され、中身の水分が流出しやすくなります。
    この状態で頻繁に野菜をかき混ぜたりフライパンをあおると、なかなか焼き色が付きません。
    焼き色を付けるためには、しっかりと油を回して高温にし流出した水分がすぐに蒸発するぐらいの勢いで加熱してください。
  • 焼き色を付けることで、旨味やコク、香ばしさが増して料理がおいしくなります。
    これは所謂メイラード反応というもので、食材にに含まれる糖分とアミノ酸が結び付いてメラノイジンという成分が作られるためです。

【2-2. 塩をしっかり入れてパスタを茹で、さらに炒める】

  • パスタを茹でるお湯には塩を入れる
  • パスタの袋に記載の規定時間茹でる
  • お湯は煮立たせない
  • 茹でた麺を最後に炒める

パスタを茹でるお湯には1%から2%程度の塩を入れましょう。
例えば1人前のパスタを2Lのお湯で茹でる場合、30g(大さじ2杯)の塩を入れます。
パスタはうどんなどと異なり、麺自体には塩が入っていないため、そのままだとソースと和えたときに物足りない味になってしまうからです。

パスタの茹で時間は袋に記載の規定時間がおススメです。
通常パスタの麺を茹でる際には、アルデンテに仕上げるために多少短めに茹でることが多いですが、ナポリタンではむしろオーバーボイルさせてもちっとした食感に仕上げることが多いです。
よりもっちりとした柔らかいパスタに仕上げたい場合には、茹で上がった麺を洗って一度寝かせることで水分をしっかりと浸透させる調理方法も有効です。

パスタを茹でるお湯はグラグラと煮立たせないようにしてください。
あまり火の勢いが強いとパスタを茹でる際に、麵同士がこすれあったりして表面の凹凸が崩れべたついたりしてしまいます。
お湯がふつふつとしているぐらいがちょうど良いです。

パスタが茹で上がったらさに麺をフライパンで焼くように炒めましょう。
ナポリタンはパスタを炒めることが特徴ですが、ソースと和える前に炒めることで独特な食感と旨味を実現することができます。

茹で上がったパスタをしっかりと湯切りし、フライパンにオリーブオイルを引いて麺を炒めます。
ここでも野菜を炒めるときと同じように、まずは麺全体に油をまとわせて強火で炒めます。
麺同士が多少くっつきやすくなりますが、焼きそばのように多少パリッとするぐらい焼くのがポイントです。
ただし、フライパンに麺が張り付いて焦げないようにしっかりと油を入れるようにしてください。

【2-3. ケチャップを煮詰めてコクを出す】

  • ソース材料の調合で味の方向性を決める
  • ケチャップをしっかりと煮詰めて酸味をとばす
  • パスタ・油分・水分はおよそ10:2:8の比率で調整する

ソースはケチャップのみでも十分おいしくなりますが、ウスターソースや牛乳を加えることで味に深みを持たせることができます。
よりスパイシーさを出したい場合にはウスターソースを、まろやかにしたい場合には牛乳をいれる割合を多くすると良いです。
また、使用するケチャップも使用するメーカーによって甘みや酸味などが異なるため、お好みのケチャップを使用してください。
トマトっぽさを残したい場合にはケチャップの量を減らして、代わりにトマトペーストやトマト缶を使うのもありです。

ケチャップはそのままだと酸味が強いため、一度煮詰めることで酸味を飛ばし、酸味・塩味・甘みのバランスを調整します。
ケチャップの酸味を飛ばすためには、高温に熱する必要があるため、強火で焦がさないようにしっかりと炒めてください。
液状だった状態から全体に粘りが出て、多少まとまるぐらいまで炒めるのが目安です。

ソースをオリーブオイルやゆで汁で伸ばす際には、パスタ・油分・水分の比率がおよそ10:2:8ぐらいになるイメージでゆで汁やオイル等を入れてください。
具材の分量などによって前後しますが、麺とソースは1:1ぐらいの分量とし、好みに応じてオイルやケチャップの比率を調整してください。
本レシピでは一旦ソースを60gから30gぐらいになるまで煮詰めて、15gの油分と50gのゆで汁で伸ばすイメージです。
オリーブオイルやバターを少なめにする場合、パスタが水分を吸いやすくなるので、ケチャップなどは気持ち多めに調整するのがコツです。

ケチャップの酸味は酢酸やクエン酸が主成分になります。
この酢酸やクエン酸は水が沸騰する100度程度で加熱しても基本的に酸味は飛びません。
酢酸は118度以上で加熱することで揮発し、クエン酸は約175度で加熱することでアコニット酸という酸味が弱い酸に分解されます。
そのため、強火で水分がなくなるまでしっかりと炒め、酸味を飛ばしてから水分を加えて伸ばすことによって、酸味が抑えられ甘みや塩味のバランスが取れたソースが出来上がります。

まとめ

ナポリタンの基本的なレシピと各工程での美味しくするための工夫について紹介しました。

各調理工程は料理を美味しくするための理由があり、その理屈が分かることで料理を美味しくコントロールすることができるものだと考えています。
本記事ではベースとなるレシピに対してアレンジポイントなども合わせて紹介しているので、是非好みの味を見つけてください。

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ミスタ
ミスタと申します! このブログは主に日々学んでいる知識についてアウトプットしていくことを目的としたブログです。 その他、趣味や戯言なども時々書いたりもします。 最近は専らAI関連が興味の対象です。 このブログが少しでも誰かの役に立てればと思っています!